退職金の平均相場は?計算方法や税金・退職金共済についてご紹介!

今年の1月、景気拡大の長さが戦後最長になりそうと日本政府が見解を発表しました。過去の好景気と比較して低成長と言われる今回、生活の豊かさを実感することは少ないと感じる人は多いことでしょう。

その一方で、景気が拡大する中転職市場が活況を呈し、長く勤務した会社を去る決断をする人が後を絶ちません。転職の理由として、以前は労務環境や低賃金に対する不満が上位を占めていましたが、現在は働きがいやキャリアアップが上位となっています。

転職に際し多くの人が期待する退職金を今回はテーマとして取り上げ、平均相場や計算方法といった具体的事例や、税金や共済制度を紹介しますので、転職を、検討している方は参考にしてください。

退職金はいつ貰える?

退職金がいつ貰えるかは、人生を左右する重要なポイントです。貰える金額によって転職するかどうかを決断し、家族を養うなどのライフプランの設計にも関わるため、正確に把握することが大切です。一度把握すれば精神的にも安心します。

退職金は法律で定められていないため、いつ支給されるかは会社によって異なり、一般的には退職後1か月後から2か月後に支給されるケースが大半です。退職金の支払時期に関しては、会社に直接確認する以外正確な情報を把握することは難しく、どうしても会社に確認する前に知りたい時は先に退職した会社の先輩などに確認するとよいでしょう。

また、退職金が支給されない場合は最寄りの労働基準監督署へ相談することをおすすめします。

中小企業と大企業の退職金について

大企業と中小企業の定義については、業種によって比較する数値が異なるため一概にはいえません。一般的には、資本金3億円以下で従業員300人以下の場合は中小企業、それ以上が大企業と分類されます。

はじめに中小企業のケースですが、東京都を例に取ると大卒で就職してから定年退職するまでの勤務を全うした場合、約1,100万円となっています

これに対し大企業では、同じく東京都で大卒後定年退職するまでの勤務を全うした場合、約2,200万円と中小企業の約2倍となっています。以前は企業年金などで退職金を年金として毎月支給してもらうことも可能でしたが、現在では減少し、役職や会社への貢献度、勤続年数によって変わるポイント制退職金制度を導入する企業が増えています。

退職金の平均相場

東京都労働産業局の調査によると、中小企業で自己都合退職のケースでは、勤続10年から15年で約110万から230万円、勤続20年から25年で約380万から560万円、勤続30年で約750万円となっています。

大企業の場合は勤続10年から15年で約190万から430万円、勤続20年から25年で約820万から1300万円、勤続30年で約1970万円と中小企業と比較して高額となっています。

また、勤続35年以上の定年退職者の退職金相場は大卒で約2,000万です。これに対して公務員の定年退職者は平均2,100万円と民間よりも高額となっています。ここからは、勤続年数を更に細かく分類して説明していきます。

1:勤続3年のケース

日本の会社の場合、退職金を支給するのは勤続3年以上とする会社が大多数でこれは今も昔も変わっていません。勤続3年目は仕事に慣れ、会社での自身の立ち位置も決まってくるころで、一気に責任や仕事量が増す時期でもあります。

退職金の支給額は高卒で約16万、大卒で約24万と微々たるものですが、これは勤続年数が3年と短いため、仕方のないことでしょう。

2:勤続5年のケース

次に勤続5年のケースではどのようになっているか説明します。この勤続5年での退職は若年層に多く、他にやりたい事が出来たため、たとえばスキルアップやキャリアチェンジを理由として退職するケースが多いです。

勤続5年での退職金の平均相場は、約55万円と勤続3年の時と比較して2倍近く増加しています。これはあくまでも平均相場で業種や企業規模、役職や自己都合か会社都合によっても金額は変わってくるので、あくまで参考として捉えてください。

3:勤続10年のケース

世間的には、勤続10年はベテランと呼ばれるキャリアフェーズですが、この時期での退職金はいくらになるか調べてみました。厚生労働省が不定期に行う就労条件総合調査によると勤続10年で32歳をモデルケースにした場合の平均金額は、自己都合で約108万円、会社都合ですと約143万円となっています。

このように、退職金は自己都合で退職する場合と、リストラや倒産などに伴う会社都合の場合では支給される金額に大きな差が出ます。

4:勤続30年のケース

定年退職まであと一歩という勤続30年のケースではどのようになっているか解説していきます。これは主に大企業に多いケースですが、50代前後の会社員に対し早期退職を促したりする場合に勤続30年で退職というケースがあります。

東京都を例にすると、中小企業における勤続30年での平均的な退職金は、自己都合で約785万円、会社都合で約852万円となっています。注目すべきは自己都合退職による退職金の減額率で、勤続5年ですと31パーセントと大きな減額率になっているのに対し、勤続30年では8パーセントとその差は大きく縮まっていることです。

次に大企業における勤続30年での平均的な退職金ですが、こちらは約1,970万円と中小企業と比較して1,000万円以上も差があります。お金が全てではありませんが、退職金に関しては大企業が中小企業よりも圧倒的に優位だといえます。

退職金の計算方法

ここまで、退職金が平均していくらくらい貰えるかを勤続年数別に説明してきましたが、自身がだいたいいくら位の退職金を手にできるかを知りたいという人は多いことでしょう。それによって予定より多く貰える時は転職するか、予想より少ない時はもう少し現職で働くかの目安になるからです。退職金の一般的な計算方法は「1か月の基本給×勤続年数×給付率=退職金」となります。会社によって計算方法は異なるため、詳細は現在勤務している会社に問い合わせるとよいでしょう。

ここでは、退職金の計算の仕方を説明していきますので、現在退職を考えていて、どのくらいの金額が支給されるかを知りたい方は是非参考にしてください。

退職金 計算シュミレーションについて

続いて給付率について説明します。給付率とは、退職金にかかる支給割合のことで、勤続年数や役職、会社への貢献度、退職理由(自己都合退職か会社都合退職か)などにより算出されます。会社によっては独自の計算方式を採用している可能性があります。

概算の金額が知りたい方は、退職金を計算シュミレーションしてみましょう。ここでは基本給を20万、自己都合退職の給付率を60%、会社都合退職の給付率を70%を目安としています。

自己都合の場合、勤続5年で60万、勤続10年で120万、勤続20年で240万、勤続30年で300万、大卒時の定年となる勤続38年で456万となります。

会社都合の場合、勤続5年で70万、勤続10年で140万、勤続20年で280万、勤続30年で420万、大卒時の定年となる勤続38年で532万となります。

自身の退職金を概算で計算したいときは、基本給がいくらで、勤続年数が何年、自己都合退職時の給付率60%、会社都合退職時の給付率70%で計算してください。つまり「基本給〇円×勤続年数〇年×給付率〇%=退職金」というように数字をあてはめます。

自己都合と会社都合における退職金の違い

次に自己都合での退職と、会社都合での退職の違いについて説明します。自己都合での退職とは一般的に転職や出産、病気や怪我などの自己に起因する都合により退職するケースを指します。この場合、退職金の給付率は一般的に60%となっています。

これに対し、会社都合での退職とは一般的にはリストラや倒産など会社に起因する都合により退職するケースを指します。この場合、退職金の給付率は一般的に70%です。

また定年退職の場合は自己都合でもなく会社都合でもありませんが、どちらになるかは会社によって異なります。多くの場合は会社都合としてくれるケースがほとんどです。詳しくは現在勤務している会社に問い合わせると良いでしょう。

退職金にかかる税金

退職金の貰える金額は、人それぞれですが会社で働く個人にとって大きな収益や財産となるこの退職金にも税金がかかります。退職金に関する税額ですが、長年の勤務に関する報酬による一時金としての配慮から、他の税金と比較して優遇措置が取られています。

続いて退職金に関する所得税、住民税、確定申告について説明していきますので、退職金を受け取る予定のある方は参考にしてください。

1:退職金にかかる所得税

退職金は税法上では「退職所得」として分類されます。退職金にも所得税がかかりますが、計算式については、まず所得控除から説明します。

所得控除額の計算式は2種類あり、勤続年数が20年以上かそれ以下で分かれます。20年以下の時は「40万×勤続年数」となります。勤続年数が20年以上の時は「800万+70万×(勤続年数-20)」となります。

たとえば勤続年数が14年の場合は「40万×14年=560万」となります。

これに対し勤続年数が40年の場合は「800万+70万×20年=2,200万」となります。

通常、課税対象になる退職金の算出方法は以下の通りとなります。

「(源泉徴収前の退職金額-退職所得控除額)×1/2=課税対象となる退職金額」

このうち、退職所得控除は先ほど計算した通りの算出方法で計算できます。

次に所得税額を求める計算式について説明します。計算式は以下の通りです。

課税対象になる退職金の金額(A)所得税率(B)控除額(C) と置き換えると計算式は「(A×B-C)×102.1%」となります。このうち、(A)の金額が195万以下の場合の(B)の税率は5%、(C)の控除額は0円です。同様に(A)の金額が195万以上330万以下の場合の(B)の税率は10%(C)の控除額が97,500円です。最後に(A)の金額が330万以上695万以下の場合の(B)の税率は20%で(C)の控除額は427,500円となります。

たとえば勤続年数が15年、源泉徴収前の退職金が1,300万円の人の場合は

1,300万-(40万×15年)×1/2=350万円となり、この350万円が課税対象になる退職金(A)となります。350万円に対する所得税率(B)は20%で控除額(C)が427,500円となるため、計算方法は

(350万円×20%-427,500円)×102.1%=278,222.5円⇒278,222円(1円以下の端数は切り捨て)となります。

2:退職金にかかる住民税

退職金の住民税を計算する方法は、「退職所得控除額」を元にして「課税対象となる退職金」を計算し退職所得に「住民税額」かけて算出します。

退職所得控除額の計算は、所得税控除の計算式と同様になります。

今回は勤続年数22年、退職金が1,000万のケースを例に計算します。

この場合、勤続年数が20年以上になるので、使用する計算式は「800万+70万×(勤続年数-20)」となるため、800万+70万×(22年-20年)=940万が所得控除額となります。

次に課税対象となる退職金の計算を行います。こちらも計算方法は所得税の時と同様です。

「(源泉徴収前の退職金額-退職所得控除額)×1/2=課税対象となる退職金額」となり、今回の退職所得控除額は940万のため計算式は以下のようになります。

「(退職金1,000万-退職所得控除額940万)」×1/2=30万が課税対象となる退職金額になります。

最後に住民税を計算します。住民税の税率は都道府県民税率が4%、市区町村税率が6%のため合計10%となり、計算式はこのようになります。

課税対象となる退職金額×住民税率10%=住民税

今回の課税対象となる退職金額が30万のため、このように算出できます。

課税対象となる退職金額30万×住民税率10%=3万円

所得税のときは1円以下の端数は切り捨てでしたが、住民税は100円未満の数字がある場合は切り捨てとなります。

3:退職金における確定申告

会社員が退職金を入手した際、原則として確定申告は必要ありません。これは退職した会社に対して「退職所得の受給に関する申告書」を提出すれば、所得税や住民税が源泉徴収されたうえで退職金が支給されるので、この場合の確定申告は不要となります。

しかし、例外的に確定申告が必要な場合や確定申告をした方が税金還付の可能性があるケースもあります。

1:会社を年度途中で退職し、再就職をしていない場合

2:「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合

3:不動産投資などの副業で赤字がある場合

上記のときは、確定申告をした方が良いので、該当する場合は手続きを行いましょう。また確定申告をする際、先に説明した所得税額と住民税額が必要となりますので、計算したうえで確定申告することをおすすめします。

退職金共済制度について

退職金にも共済制度があり、代表的なものが厚生労働省所轄の中小企業退職金事業共済本部、略して中退共が運営する共済制度です。これは企業が掛金を支払い、国が掛金を一部援助して行われ、退職金を積み立てていくもので、原則として全ての従業員が加入する必要があり、例外は認められていません。

今回は、中小企業退職金事業共済本部(中退共)が運営する共済についてのメリットと、デメリットについて説明しますので、加入を検討している方は参考にしてください。

退職金共済制度のメリット

中小企業退職事業共済本部(中退共)へ加入するメリットは、短期間で掛金を上回る退職金ができる点にあります。たとえば従業員が24か月加入すれば、退職金が掛金を上回るようになるため、短期間の勤務における従業員にも退職金を受け取ることができます。

さらに3年6か月、つまり42か月以上勤務すると国からの助成も加わるため、無駄なく退職金の資金を積み立てることができます。

従業員にとっても、月々の税負担がなく退職金として受け取れば給与所得よりも税負担が軽くなります。一方、事業者にとっても退職金の支払いに関してトラブルに巻き込まれる心配がありません。そのため、社員と会社双方にメリットのある制度となっています。

退職金共済制度のデメリット

このように従業員と企業双方にとってメリットの大きい中小企業退職共済本部(中退共)の共済制度ですが、デメリットもあるので注意が必要です。

まず企業側にとってのデメリットですが、一度取り決めした掛金の減額が難しく、支払い済の掛金についてはどのような事情があっても返還してもらうことができません。この対策としては、はじめに無理のない金額の積立から開始し、事業の拡大や収益の安定に伴って増額するのが良いでしょう。

次に従業員にとってのデメリットですが、12か月未満で退職した場合の退職金は一切支払われません。また24か月未満で退職した際も掛金よりも低い退職金の支払いとなるため、最低でも2年以上は勤務することをおすすめします。

退職金と転職の関連について

退職金は、働く人にとって今後の生活を支える重要な資金であることは確かです。しかしその一方では、転職を繰り返すことで退職金が目減りしていくことを忘れてはなりません。ではどうすれば退職金をうまく活用できるかを説明します。

退職金は、定年退職後の老後の資金として、生活費や転職活動費に回すことは極力さけて運用することをおすすめします。たとえば、転職先の会社が企業型確定拠出年金を導入している場合、前職の企業型確定拠出年金や厚生年金基金、確定給付企業年金を持ち運ぶことが可能です。

また、転職先の企業が企業型確定拠出年金を導入していない場合は個人型確定拠出年金(iDeCo)に移すことができます。この個人型確定拠出年金は資産運用で得た利益が非課税となるため、通常の課税口座で運用するよりも有利です。一方で60歳までは原則引き出しができないデメリットもあります。

このように、退職金を一時的な資金として捉えるのではなく、老後も含めた長期的視点で捉えて運用し転職した後も転職先への持ち運びを行うなど、効率を考えて活用されることをおすすめします。

また、退職でトラブルが発生する可能性がある場合は、専門の弁護士が対応する退職代行サービスを利用しましょう。

安全退職ドットコムは弁護士が対応!体験者からの口コミ評判も紹介!

まとめ

退職金がいつ支給されるかや計算式・給付率やポイント制度など会社によってその計算方式は異なるため、詳しく知りたいときは、現在勤務している会社へ直接問い合わせすることをおすすめします。

大切なことは、現在の勤続年数や会社への貢献度などによって退職金は変動しますので、現役で企業に勤務しているときは、全力で仕事に打ち込みましょう。

また転職を検討する際は概算でいくら支給されるかを計算し、転職後や今後の人生のライフプランを家族と相談したうえで無理なく行うことが大事です。一度きりの人生なので自身で判断し、悔いのないようにしましょう。

退職後のキャリアを円滑にするために転職エージェントを利用することもおすすめです。

リクナビnextの評判は?特徴や流れを知って転職活動に活かそう!