キャリアアンカーとは?自分の労働観に合った適職を見つける方法

現代社会は、価値観の多様化や個性を受容する時代の流れにシフトしています。

これまで一般的だった、良い学校を出て良い会社に入れば一生安泰といった時代は過ぎ去り、現在は世界を巻き込んだ競争の時代へと突入しました。そんななか、ここ数年で大きく変化したのが価値観の多様化です。

それは働き方に対する考え方も例外ではなく、特に自らのキャリアを形成するときに最も大切な価値観や欲求を意味する言葉にキャリアアンカーがあります。今回はこのキャリアアンカーについてご紹介します。

キャリアアンカーとは?どんな意味で使われる?

キャリアアンカーは仕事をするうえで、舵取りを担う船の錨のような役割を果たします。

近年キャリアアンカーという言葉を良く聞きますが、具体的にどのような言葉の意味でしょうか。アンカーとは船の錨の意味を指し、舵取りという表現で使われます。これにキャリアを組み合わせると、仕事をするうえでの舵取りと言い換えることができます。

つまりキャリアアンカーとは、キャリアを選択する際に絶対に譲れない条件、価値観や欲求、動機を指す意味として使われます。船の錨は舵取りのかなめですが、人生における舵取りとして形成されるキャリアアンカーは長い年月をかけて形成されるため、一度形成されると生涯に渡って継続します。

キャリアアンカー8つのカテゴリー

キャリアアンカーは8つの価値観に分類して定義されたものです。

キャリアアンカーが近年注目されている理由は、働き方改革が推進されていく過程で従来の正社員のみならず、派遣や契約社員といった非正規雇用や、リモートワークなどの在宅勤務といった従業員の働き方や価値観の多様化があります。

人はキャリアについて考えるとき、2つの方法があり1つは「何をしたいか」などの「何」についてで、2つ目は「どんな人生を送りたいか」などの「どんな」についてです。キャリアアンカーではこのうち、「どんな」について8つの価値観に分類できます。以下の項目で順を追ってご紹介します。

1:管理能力

管理能力は、組織を統率したいと考える人の価値観です。

人によって価値観はいろいろありますが、中でも管理能力を重視する人は組織や集団を統率するリーダーや管理職に就きたいと考えます。問題解決やマネジメントが得意で人の世話を焼くのが好きなどの面倒見が良い人が多いのが特徴です。仕事においても全般的な能力を求め、責任を負うことでの成長を重視しています。

2:技術力

技術力は、研究者や職人が価値観として重視します。

技術力や専門的能力の価値観を重視する人は、特定の分野を極めた専門性を武器にその分野のエキスパートになることを望んでいます。新たな課題を見つけて解決していくことでの成長を重視します。その反面で意にそぐわない異動や配属には頑強に抵抗し、その後の満足度が下がる傾向があります。

3:安全性

安全性は、安定や平穏を重視します。

安全性の価値観を重視する人は、生活で重要なのは安全や安定と考えて行動します。可能な限りリスクを回避して継続的に働くことに価値観をおいています。主に終身雇用の企業や公務員などにこの傾向が強く出ています。

4:創造性

創造性を重視する人は、クリエイターやデザイナーが多いです。

創造性に価値観をおく人は、既存のやり方に縛られることを良しとせず、自ら創造して新たなビジネスに挑戦することを重視します。具体的には新規事業の立ち上げや新たな発明などが該当し職種としては、クリエイターやデザイナーに多いと言われています。自らの領域を広げることにあまり関心はありませんが、独立志向が強く最終的には、起業や独立を行う人が多いです。

5:自立と独立

自立と独立の価値観を重視する人は、我が道を行くタイプが多いです。

自立と独立の傾向が強い人は、組織などの集団に縛られることを嫌います。我が道を行くというタイプが多く、一人で仕事をすることが好きです。

具体的には、自分の決めたやり方で仕事を進めたいと考えます。既存のやり方や細かい支持、場の空気に従うことを嫌い、自由な雰囲気の社風を好む傾向があります。

6:奉仕と社会貢献

奉仕と社会貢献の価値観を重視する人は、人や社会の役に立つことを念頭に置いています。

奉仕と社会貢献に価値観を置く人は、自らの能力を発揮させるよりも人や社会に役立つことに力を注ぎたいと考える傾向が強いと言えます。

具体的には、社会福祉事業やサービス業界に身を置く人にこの傾向があります。ボランティア活動が好きな人も奉仕と社会貢献に価値観を置いています。また正義感が強く、社会や内部による不正に対して厳しい目を持っています。

7:純粋な挑戦

純粋な挑戦に対して価値観を重視する人は、困難な課題の解決に注力する人です。

純粋な挑戦に価値観を置く人は、厳しい条件を課された中での課題解決に向けて全力を注ぐことに価値を見出す人です。そのため、一通り仕事ができるようになると物足りなさを感じ、新たに挑戦できる場所を探す傾向があります。一貫性のないキャリアを形成する人も少なくありません。

8:ワークライフバランス

ワークライフバランスに対して価値観を重視する人は、仕事とプライベートのバランスを大事にします。

ワークライフバランスに価値観を置く人は、自らで確立した生活を重視する傾向がありその基準に合致する職種や企業を選択します。

具体的には福利厚生やリモートワークなどに関心を示す傾向があり、時には仕事よりもプライベートを重視します。仕事を離れて長期休暇を取り、余暇時間を楽しむ傾向もあります。

キャリアアンカー自己分析1:分析方法

転職やキャリアアップする際の自己分析方法として、キャリアアンカーがおすすめです。

自己分析は転職する際にも必要ですが、一般論として在職中でもキャリアアップを図るうえで重要です。自身がどんな価値観を持ち、何を重視しているかを知ることができます。

この過程を踏むことで、転職やキャリアアップの形成を失敗する可能性を低くします。

具体的な自己分析の方法は、キャリアアンカーチェックシートなどの便利ツールがあります。これにより自身が先に述べた8つのカテゴリーの中で何を重視し、どんな価値観を大事にして譲れないのかを分析します。

この分析結果を今後の転職時や昇進時の指針としましょう。以降はその他の分析方法を項目別にご紹介します。

自分史を書く

自分史を書くことで、自身の強みや弱み、適性や価値観を知ることができます。

自分史を書くうえで、重要なポイントは自身の特徴を具体的に把握し、今後の転職や昇進などのキャリアアップする際の指針とすることです。自身の歴史を振り返ることで、どんな価値観を持って仕事をしたかや、何を重視して生きてきたかを知ることができます。

過去を振り返ることで、嘘偽りのない等身大の自身を発見することができます。これは、転職やキャリアアップなど、今後の人生の指針として役立てることができます。

尊敬するロールモデルを見つける

尊敬するロールモデルを見つけることで、将来なりたい自身を発見することができます。

尊敬するロールモデルとは、憧れを抱いている先輩社員や上司などを指します。将来自身がこういう人になりたいと考える理想の人です。人によって重視する箇所は異なりますが、一言で言えば「輝いている人」と言い換えることができます。

尊敬するロールモデルを見つけることで、自身がどの価値観を重視しているかが分かります。仕事に取り組む姿勢や成果を上げる能力、仕事後の遊び方など価値観はさまざまです。尊敬できる人を見つけることで仕事へのモチベーションにもつなげることができます。

キャリアアンカー自己分析2:価値観の創造

価値観の創造とは、これまでなかった価値観を創るという意味です。

キャリアアンカーに基づいて価値観の創造を定義すると、新しい自身の仕事の価値観を創り上げることになります。これをキャリアアンカーの観点から見ると自己実現的価値の創造とすることができます。

これ以降は、自己分析の方法として仕事をするうえで何を重視し、どんな価値観を持っているかといった自身の価値観を創造する方法について考えます。将来のキャリアの形成や自身の今後の方向性について悩んでいる方は参考にしてください。

自分のやりたい仕事を見つけるには?

やりたい仕事を見つけるには、自己分析が欠かせません。

やりたい仕事が見つからないと思う人は多いです。また、今の仕事が自身に合っているかわからない人もいるでしょう。そんな時は、自己分析をしてみることをおすすめします。先に述べた価値観の創造という観点から考えます。

これまで、何かに打ち込んだり夢中になった経験がある人は多いでしょう。また、仕事でさほど努力をしなくても周囲の評価が高い人もいます。

それが自身の得意分野であり、強みや適職となります。この作業の積み重ねで自身の得意分野を発掘しましょう。

仕事で何を重視すべきかわからないときは?

仕事で何を重視すべきかわからないときには、人生の目的を考えてみましょう。

人生の目的と考えると大げさですが、どのような人生を過ごしたいかと想像すると軸になる考えが湧いてきます。それが自身の重視している箇所で、譲れない価値観です。

次に自身の好きなことを考えて創造してみましょう。

人によって回答はさまざまですが、好きなことや得意分野が自身にとっての強みとなります。その強みを生かすことで、適職とめぐり合う可能性が高くなります。

そして、その得意分野がどのような職種や企業に該当するか検討し、研究を重ねて応募してみましょう。

キャリアアンカーの形成

キャリアアンカーの形成は、さまざまな経験の積み重ねで形成されます。

キャリアアンカーの形成は、少しずつ自身の経験の積み重ねで蓄積されるので、一朝一夕で積みあがりません。したがって、一度形成されると簡単に変わることはなく、生涯に渡って重要な意思決定をする際に影響を与えます。

以降は、キャリアアンカーの形成にあたり、それまでの過程や悩みなどが解決できるように項目ごとにご紹介します。

仕事に求めるものとは?

仕事に求めるものは、人によってさまざまな違いがあり、キャリアアンカーの形成の影響を受けています。

仕事に求めるものは人によって価値観や重視する項目が違うため、さまざまな回答がでます。転職サイトのエン転職が2017年に行った調査によると、20代から30代の若手会社員の1位の回答は「スキルアップや自分の成長を実感すること」です。調査には50%を超える人が回答し、全体でもトップです。

これに対し、40代以上の会社員の1位の回答は「自分の提供した仕事に対して顧客が満足すること」です。調査には40%以上の人が回答しており、全体でも2位となっています。大事なことは自身の価値観や重視する項目を知り、それに沿った会社に就職することです。

転職以外に選択肢がないのか?

キャリアアンカーの形成として、転職も一つの手段ですがその選択は慎重にしましょう。

キャリアアンカーを形成するうえで、転職は有効な手段の一つです。しかし、本当に転職することでキャリアアンカーを形成できるのか、慎重に検討する必要があります。なぜなら、転職は成功やキャリアアップが必ず約束されたものではないからです。

現在の状況を分析し、本当に今の会社でキャリアアンカーを形成できないのかを考えてみてください。悩みや困りごとがある時は、上司や先輩に相談することで解決する可能性もあります。現在は転職の売り手市場と言われてますが、周囲に惑わされず冷静に対処する必要があります。

キャリアアンカーとエドガーシャイン博士

エドガーシャイン博士は、キャリアアンカーの提唱者です。

エドガーシャイン博士は心理学者で、アメリカ合衆国のマサチューセッツ工科大学で多くの功績を残し、キャリアアンカーの提唱者でもあります。博士の理論の特徴は3つです。

1:組織と個人の相互作用という観点から理論を形成し、作成している。

2:「外的キャリア」「内的キャリア」という2つの軸からキャリアを捉えている。

3:「生物学的‣社会的」「家族関係」「仕事‣キャリア」という3つが影響しあって人は存在しているという捉え方をしている。

これら3つの特徴をもとに、「キャリア・アンカー」などのキャリア関連の理論を提唱しています。

まとめ:自分の本当の価値を発見しよう!

キャリアアンカーを利用して、自身の重視する項目と譲れない価値を発見しよう。

・キャリアアンカーとは自身の適性から職業をみつける指針です。

・キャリアアンカーは8つの適正カテゴリーから、自身が該当する適性が確認できる。

・キャリアアンカーからで自身の価値観や人生において重視するものが見ることができる。

・キャリアアンカーで自身の適性、価値観を知ることで新しい価値観を生むことができる。

・キャリアアンカーの形成には時間が必要で、仕事や自身の経験が積み重り構成される。

・仕事や自身の経験がキャリアアンカーの形成に大きく関わるため、転職は慎重に行う。

・エドガーシャイン博士がキャリアアンカーを提唱した。

ここまで、キャリアアンカーの特徴や自己分析の方法、必要性など、それに付随する考え方や方法をご紹介しました。大事なことは、周囲に惑わされることなく自身の仕事をするうえでの重視する点や譲れない欲求、価値観を発見することです。

そうすれば、仕事のみならず今後の人生において自身の揺るぎない価値観が形成されます。それは、今後重要な決断をする際に大きな影響を及ぼす可能性を秘めています。

キャリアアンカーは一度形成されれば生涯に渡って大きく変化しません。実りある人生にするためにも、しっかりとキャリアアンカーで自己分析されることをおすすめします。