退職の手続きをチェックリスト付きで解説!書類の種類?役所での手続きは?

転職してキャリアアップを図り、それが社会的にも認知されている欧米諸国と比較して日本ではまだ転職に対するネガティブな世論が多いのが現状です。しかし人手不足や少子高齢化、人口減少などを背景に最近では少しずつ情勢が変化してきています。
以前ほど転職に対するネガティブな意見は少なくなり、特に若年層においてキャリアアップを図るため積極的に転職を行う人たちが増加してきています。
そんな中、今回は転職する際に必ずといっていいほど手続きを行う「退職手続き」についていつまでに何をすべきかや、どのような手続きを行えば良いかを知るチェックリストを紹介します。他にも書類や役所での手続きを説明しますので、退職手続きを行う予定のある方は参考にしてください。
目次
退職までの手続きはいつまで?時系列で流れを解説
ここでは、退職までの手続きは大きく分けて、会社への手続きと公的手続きの2種類があり、それぞれいつまでに手続きをするかについて説明していきます。まずはじめに会社への手続きから説明していきます。以下の一覧表をご覧ください。
期日(いつまでに行うか) | 何を行うか |
---|---|
1か月前までに | 退職の申し出と退職届の提出 |
2週間前までに | 取引先などに挨拶 |
1週間前までに | 後任者への業務引継ぎ |
退職当日までに | 会社の備品返却や社内挨拶 |
勤務する会社の規模などにより異なりますが、概ねこのような流れとなっています。それぞれの項目について、ここから順を追って説明していきます。いつまでに何を行えば良いかわからない人や、退職を決意しこれから手続きに入る段階の人は現在の状況を把握しましょう。その後いつまでに何を行わなければならないかを検討しながら、参考にしてください。
【1か月前までに】退職の申し出と退職届の提出
1か月前までに行わなければならないことは退職の申し出と退職届の提出です。法律上では2週間前までに退職する意思を伝えれば退職することができますが、世間一般や多くの会社では2か月前から1か月前までに伝える必要があります。
退職される会社側にとって2週間前では後任の選定や人員の補充、業務の引継ぎなどの手続きが間に合わなくなる可能性が高いからです。すぐにでも退職したいという気持ちはわかりますが、あまり早急な手続きを行うと周囲と衝突する確立が高いです。退職する意思だけは変えず、引継ぎなどは会社の都合に合わせる姿勢が大切です。
退職時に周囲と衝突を起こさず、円満に退職するためには遅くとも1か月前までに退職の申し出を行いましょう。その後退職日が決定したあとに、退職届を提出するのが一般的な流れとなっています。
【2週間前までに】取引先などに挨拶
次に退職の2週間前までに行うのが、取引先への挨拶周りです。その際、後任者が決まっている場合は同行を依頼しましょう。
【1週間前までに】後任者への業務引継ぎ
1週間前までには、後任者へ渡す引継ぎ資料を準備しましょう。
資料作成のポイントは、誰が見ても分かるような内容にすることです。
【退職日までに】会社の備品返却や社内挨拶
退職日までに会社の備品返却や挨拶を行います。備品とは制服や健康保険証、パソコン、携帯電話、社員証や名刺などです。返却するものは会社によって異なりますのでチェックしておきましょう。
また退職後に受け取る書類についても確認しましょう。一般的には
- 雇用保険被保険者証
- 年金手帳
- 離職票
- 源泉徴収票
- 退職証明書
などが該当します。
転職先が決まっているか、決まっていないかによって受け取る書類が異なるので事前に確認しましょう。
【チェックリスト付き】退職に必要な社内での手続き
ここからは退職する際に必要な社内での手続きについて説明します。
会社へ返却が必要なもの【チェックリスト付き】
はじめに、会社へ返却が必要なものをまとめました。詳細は以下のチェックリストをご覧ください。
チェック | 返却すべき会社からの貸与品 | 注意すべきこと |
---|---|---|
健康保険証 | 扶養者の分も忘れずに。 | |
社員証 | ホルダーも会社支給の場合はホルダーごと | |
備品 | パソコン・携帯電話・事務用品など会社から貸与されている物。会社によって期限が設定されている場合は、その日までに返却する | |
名刺 | 取引先から受け取ったもの。顧客リストに該当するもの | |
定期券 | 清算か返却か、会社に確認が必要 | |
作業着・制服 | 貸与されている場合は、クリーニングして返却 |
チェックリストを活用し、返却したものはチェックをつけて確実に返却するようにしましょう。また、会社によっては返却期限が設けられている備品もあるので、念のため確認が必要です。
会社から受け取るべき書類【チェックリスト】
次に退職後に会社から受け取る書類について必要なものをまとめました。詳細は以下のチェックリストを確認してください。
チェック | 会社・公的機関から受領する書類例 | 注意すべき点 |
---|---|---|
雇用保険被保険者証 | 失業保険(雇用保険 基本手当)受給する場合は、ハローワークへ提出。転職先が決まっている場合は、転職先に提出が必要 | |
年金手帳 | 会社が預かっている場合は必ず受領。転職先に提出。または国民年金加入に必要 | |
離職票 | 退職後10日以内に発行。郵送か訪問受け取りか決めておく | |
源泉徴収票 | 退職日以降に受領。郵送か訪問受け取りか決めておく | |
退職証明書 | 発行には申請が必要。退職日が決まったら依頼しておく |
注意すべきは退職証明書で、発行は基本的に会社への申請が必要となります。
離職票や源泉徴収票は退職後に発行される書類のため、事前に担当者と相談し、郵送にするか、直接訪問して受け取るかを明確にして受領漏れのないようにすることが大切です。
【チェックリスト付き】退職に伴う役所での手続き
ここからは公的手続きについて説明します。
退職後に次の転職先が決まっている場合と決まっておらず無職になる場合とで大きく異なります。
転職先が決まっている場合、ハローワークで手続きする必要がないため、離職票は不要です。雇用保険被保険者証や源泉徴収票についても転職先に提出すれば手続きをしてもらえます。つまり社会保険や厚生年金は継続され、転職先で年末調整の手続きを行うため、翌年の確定申告は不要となります。
しかし一度無職になる場合は雇用保険被保険者証や離職票をハローワークに提出して失業手当受給の手続きをする必要があります。社会保険から国民健康保険への切り替え手続きも必要です。
転職先が決まっている場合
転職先が決まっている場合は、前職の担当者から必要書類を受け取り、転職先に提出します。雇用保険被保険者証、源泉徴収票、年金手帳などを転勤先に預ければ転職先で手続きを行ってくれます。
そのため書類の不備がなければ手続きについて心配することは少ないといえます。
転職先が決まっていない場合【チェックリスト】
転職先が決まっていない場合はさまざまな公的手続きを行う必要があります。保険や年金、税金の扱いが変わるためです。詳しくは以下の一覧表をご覧ください。
チェック | 公的手続き内容 | 手続き期限など | 注意すべき点 |
---|---|---|---|
健康保険証 | 退職日から任意継続は20日以内、国保切り替えは14日以内 | 現在加入の社会保険を継続する場合は任意継続手続き、そうでない場合は国民健康保険への切り替えが必要。所轄の社会保険事務所、または自治体で手続き | |
年金切り替え | 退職日から14日以内 | 厚生年金から国民年金に切り替える場合、住民票のある市区町村で手続き | |
住民税 | 郵送される納付書を確認 | 退職月によって、転職先での給与天引き、税務署での一括納付、分割納付などが変わる。 | |
雇用保険 | 基本手当の受給完了が、退職日から1年以内 | 雇用保険の基本給付(失業手当)の受給を希望する場合は、住所地所轄のハローワークで手続き。退職理由で変わる。 | |
所得税の確定申告 | 翌年の2月16日から3月15日 | 退職日から12月31日まで入社しなかった場合、税務署で確定申告が必要 |
すぐに転職しない場合は雇用保険と確定申告に注意です。雇用保険はハローワークで失業手当を受給する際に必要となり、退職理由によって支給開始時期が異なります。
たとえばリストラや倒産などの会社都合での退職であれば申請後1ヶ月程で失業手当の支給が開始されますが、自己都合による退職の場合は原則3ヶ月間失業手当が支給されません。
次に所得税の確定申告ですが、退職した年に転職しなかった場合は確定申告が必要です。此方も忘れずに行いましょう。
失業保険の給付手続きはハローワークで
退職手続き後、転職先が決まっていない場合はハローワークで失業保険の給付手続きを行いましょう。失業保険は誰でももらえるわけではなく、ハローワークに求職の申し込みを行い、規定の条件を満たさないと支給されないので注意が必要です。条件は以下の通りです。
1:失業状態であること
2:退職日以前の2年間に雇用保険加入期間が通算12ヶ月以上あること
3:ハローワークに求職の申し込みをしていること
これらを全て満たさないと失業保険は給付されません。ハローワークに求職を申し込む際に必要となるのが「雇用保険被保険者証」「離職票」です。
失業保険の給付額は、人によって異なりますが、受給するまでの主な流れは以下の通りです。
1:ハローワークで求職の申し込みと離職票の提出
2:7日間の待機期間(自己都合退職の場合は3か月と7日間)
3:雇用保険受給説明会と失業認定日に出席
4:1週間程度で初給付
5:以降は4週に1回の書類申請と面談を実施。その後1週間程で給付
健康保険の変更手続き
退職手続きが終了した後に、健康保険の変更手続きが必要となります。
健康保険の変更手続きには3種類あり、詳しくは以下の一覧表をご覧ください。
健康保険の種類 | 提出期限 | 提出先・場所 | 準備物・提出物 |
---|---|---|---|
任意継続被保険者制度 | 退職後20日以内 | 会社または健康保険組合(郵送可) | ・健康保険任意継続被保険者資格取得申請書
・住民票 ・1か月分の保険料 ・印鑑 |
国民健康保険 | 退職後14日以内 | 居住地の市区町村役所の健康保険窓口 | ・健康保険資格喪失証明書
・各市町村で定められた届出書 ・身分証明書 ・印鑑 |
家族の扶養に入る | できるだけ早く | 家族の勤務先 | ・世帯全員の住民票(被保険者と別姓の場合)
・源泉徴収票 ・退職証明書または離職票のコピー ・失業保険や年金を受給している場合は、受領金額のわかるもののコピー |
この中で注意すべきなのが、家族の扶養に入る以外は全て申請書類の手続き期限が設けられていることです。どの健康保健に加入するかについても家族と相談し、最適な健康保険加入手続きを行いましょう。
年金の種別変更手続き
退職手続きが終了すると会社員ではなくなるため、年金の種別変更手続きも必要となります。退職後は在職中の「第2号被保険者」ではなく、本人が国民年金に加入する「第1号被保険者」か家族の厚生年金に加入する「第3号被保険者」になる必要があります。詳細は以下の一覧表をご覧ください。
被保険者の種類 | 提出期限日 | 提出先・場所 | 準備物・提出物 |
---|---|---|---|
第1号被保険者 | 退職日から14日以内 | 居住地の市区町村役場 | ・年金手帳
・離職票または退職証明書 ・身分証明書 ・印鑑 |
第3号被保険者 | できるだけ早く | 家族の勤務先 | ・国民年金第3号被保険者該当届
・世帯全員の住民票(被保険者と別性の場合) ・源泉徴収票 ・退職証明書または離職票のコピー ・失業保険や年金を受給している場合は、受領金額の分かるもののコピー |
注意すべきは第3号被保険者になる場合で、配偶者が第2号被保険者であること、退職者の収入が130万以下であることという、2つの条件があるため、利用時は注意しましょう。
住民税の支払い手続き
退職すると、それまで会社が本人に代わって納めていた住民税を自身で納める必要があります。住民税は退職した月によって対応方法が2種類あります。6月から12月に退職した場合と1月から5月に退職した場合です。
6月から12月に退職した場合は、退職した月の分は天引きされますが、以降は自身で納めることになります。納付方法は一括と分割の2種類があるので、その時の経済状況により判断すると良いでしょう。
1月から5月に退職した場合は、2年前の住民税(5月までの分)を一括で天引きされます。たとえば3月に退職した場合は3月から5月までの分を、1月に退職したときは1月から5月までの分を一括で天引きされます。このため、最後の月は手取りの給与額が減っている可能性が高いので、事前に確認しましょう。
退職を決めたら転職エージェントを活用しよう!
退職を決めたら、転職エージェントの活用をおすすめします。通常の転職サイトは求人の選択や応募、面接の日程調整や年収交渉、入社日の調整などほぼ全てのことを自身で行なわなければならないため、在職中に行うには大きな負担が伴います。
しかし転職エージェントは、依頼者の希望をヒアリングしたうえで、履歴書や職務経歴書の添削、模擬面接の実施など、上記以外の調整に関しても対応してくれるため、効率的で短期間に転職先が見つかる可能性が高まります。
短期間で納得のいく転職先を探すなら、転職エージェントを活用して自身に合ったキャリアパスを描き、その先にある人生も輝く素晴らしいものにできる可能性があります。自身に合った転職エージェントを選択し、充実したキャリアアップを目指していきましょう。
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まとめ
- 退職の手続きをいつまでに行なえば良いかを把握し、それに沿って実践しましょう
- 退職に必要な社内での手続きを、チェックリストを参考に漏れなく行いましょう
- 退職に伴う会社から受け取る必要な書類を、チェックリストを参考に行いましょう
- 退職に伴う公的手続きは、転職先が決まっているかそうでないかで大きく異なります
- 退職を決めたら、転職エージェントを活用して効率よく転職活動を進めましょう
ここまで、退職手続きに関する説明をさまざまな角度から説明してきましたが大切なことは退職手続きを行う場合、自身の都合を押し通すのではなく、退職する日程を決めたあとは会社の言い分も聞いて、円滑に退職手続きを進めるこです。
そうすることで、円満退職につながり次の仕事にもつながっていくのでここは慎重に進めていきたいところです。
「立つ鳥跡を濁さず」ということわざの通り、退職する際も会社側と対立するのではなく、協調しながら進めていくことをおすすめします。そうすることで自身の今後の人生も拓けていくことでしょう。
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